<< 熱損失量の算定 >>
指針9.3に示される養生上屋の算定方法を適用します。
1) 伝熱による熱損失量Q1
Q1=Σ(Kn・Sn) (指針9.3式)
ここに、
Q1:養生上屋の伝熱による単位時間・温度差1℃あたりの熱損失量(W/K)
Kn:各上屋材料の熱損失係数(W/m
2K)
Sn:各上屋材料の面積(m
2)
※ 標準的な上屋材料の熱損失係数として、指針解説表9.2を採用します。
2) 換気による熱損失量Q2
Q2=0.35NV (指針9.4式)
ここに、
Q2:養生上屋の換気による1時間・温度差1℃あたり熱損失量(W/K)
0.35:定数(W/m
3K)
N:養生上屋の形状・構造・風速などから仮定した養生上屋内部空気の1時間あたりの換気回数(回/h)
V:養生上屋内部の(建築物内部も含む)空気容積(m
3)
3) 伝熱および換気による熱損失量Q
Q=(Q1+Q2)(Ti−Tme) (指針9.5式)
ここに、
Q:養生上屋の伝熱および換気により失われる時間当たり熱損失量(W)
Ti:計画養生温度(℃)
※ 5℃以上かつ打込み時のコンクリート温度以下とします。(指針9.3.c)
Tme:初期養生期間の予想平均気温(℃)
※ 計画段階では、寒波による気温の低下を考慮して指針(9.1)式を適用します。
Tme=(平均気温の旬平均気温)- 4
4) 換気回数N
指針(9.6)式、および関連する解説図9.3、解説表9.3〜9.8を適用します。
N=Ns×A×B×C×D (指針9.6式)
ここに、
N:換気回数
Ns:基準換気回数(解説図9.3、解説表9.3、解説表9.4)
A:囲いのサイズによる補正係数(解説表9.5)
B:囲い材の継ぎ目状態による補正係数(解説表9.6)
C:上屋の平面形状による補正係数(解説表9.7)
D:囲み材の一重・2重と継ぎ目の良否状態による補正係数(解説表9.8)
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<< 基準換気回数の算定 >>
指針(2010年版)の解説図9.3は、同資料5.3.1に示される(資5.1)式に基づいて作成されており、その算出根拠は指針(昭和53年版)などに記載されています。
本システムでは、以下に示すように、指針(昭和53年版)の根拠に準じて換気回数を算出しています。
1)基本式
上屋囲い面にm個の開口が分布する場合、それぞれの開口における風圧力と温度差による換気量は下式のように表すことができます。
また、すべての開口における換気量(流入量と流出量)の総和は0となります。
したがって、(1)式によるm個の連立方程式と(2)式を組み合わせて、QsmおよびPiを解くことになりますが、この方程式は非線形であるため2分法を用いて近似解を求めています。
Qsm = RmAm{ 2ghm(Ti-T0)/Ti - cv2 + 2gPi/G0 }1/2 (1) [指針2010:資5.1]
Σ Qsm = 0 (2)
n = Σ |Qsm| / 2V (3)
ここに、
Qsm:換気量(m
3/h)
n:換気回数(回/h)
V:養生空間の気積(m
3)
Rm:囲い材すき間の流速係数
Am:開口面積(m
2)
hm:開口部の高さ(m)
Ti:室内絶対温度(K)
T0:室外絶対温度(K)
c:風圧係数
v:外気風速(m/s)
Pi:室内全圧(kg/m
2)
G0:外気密度(kg/m
3)
2)算定条件
◆ 指針(昭和53年版)記載事項
・ 囲い材サイズ:3.6m×5.4m
・ 側面部の囲い材すき間:2cm(天井部が有開口の場合:天井部のすき間4cm)
・ 囲い材のすき間の流速係数Rm:0.7
・ 上屋の平面形状:正方形
・ 上屋内外の温度差:15℃(内部温度Ti:5℃、外部温度T0:-10℃)
・ 風圧係数c:風上側0.8,風下側-0.4
・ 安全率:50%
・ 側面部の開口は2個の集中開口に換算し、養生空間高さの1/4と3/4に位置する
◆ 本システムでの修正事項
・ 側面部の開口は10個の集中開口に換算し、養生空間高さの1/20から19/20の範囲に等間隔で位置する。
・ 養生床面積および高さを計算過程で算入し、指針解説図9.3の算出結果を補間する。
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